脱はんこ、と言う言葉

明日で44歳、これも何かのタイミングかな。
昨今の「はんこ」に対する様々な発言や動きに対して、
印章業に携わるひとりの職人として意見を述べていこうと思います。

最初に、僕は河野太郎さんの事を心から尊敬しています。
また地元では絶大な人気とたくさんの支援者がいます、僕もそのひとりです。

小さな声ですが僕が発言をする事で仲間から反感を買うのは覚悟です。
皆さまも「太郎さんの言葉だから」「はんこは面倒だ」と盲目的に捉えるのではなく、
政府からの発言であること、そこから何が起こるのかを考えてください。
またメディアがどれだけ切り取っているのかを意識して頂ければと思います。

勘違いして欲しくない事は、行政手続き上での無駄な押印を見直す事に対して、
全く異は唱えていないと言う事(僕はもちろん、はんこ業界も)。
行政業務効率の向上は巡り巡って僕たちの利益に繋がりますし、大賛成です。
はんこ屋としても押印機会が少なくなる事は受け入れていきます。

ただ「無駄な押印=全てのはんこ=脱はんこ」ではない、と言う事。
例を挙げますと、見直しをしている行政手続き上での押印と、
私たちが直接関係のある実印制度(印鑑登録制度)は全く違います。

太郎さんの強い発言、そしてメディアの悪意ある切り取り方で、
「世の中の全てのはんこをなくす」
「デジタル化の敵=はんこだ」という短絡的な報道や議論を多く見かけます。
コロナ禍と言う事も追い風で、簡単な敵対構図は本当に描きやすいですよね。

デジタル化すること、それ自体が目的ではないはず。
全体の利益の為の手段のひとつ、幾つもの手段のたったひとつです。
はんこをなくせ!サインで十分だ!と大声をあげる方は、まず足元を見てください。
デジタル化のリスクや脆弱性、いままでどれだけの事件がありましたか?
マイナンバーカード等の普及率、いままでにどれだけ浸透しましたか?
そして地域間や企業間だけでなく様々な場面でのデジタルインフラ格差。
置き去りにされる地域・企業・国民がどれだけいることでしょう。

最後に繰り返しになりますが、デジタル化には賛成です。
ただデジタル化にすることが目的となっては全く意味がない。
はんこの利点、それを生かした役割は有る。
脱はんこにはならない、これからもはんこは残ります。

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