名前と印章の想い出-2

これは、私が病院で働いていた時のこと。
病院では当然だが患者さんの名前には「様」をつける。
ある時、神(かみ)と奥(おく)という二人が治療に訪れた。
会計の際にマイク大音量で、続け様に二人の名前を呼んだ。
「神様、神様」「奥様、奥様」
少し間をおき薬局でも同様に呼ばれた。
待合室にいる患者がどよめいた。
神様はどこ?
奥様は誰のこと?
現れた二人に何百もの目の熱い視線。
相当恥ずかしかったに違いない。

東京都(27歳)

公益社団法人全日本印章業協会
「名前の玉手箱」名前と印章の想い出
59頁より

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