名前と印章の想い出-5

婚姻届を出した後で恋女房の曰く。
「用がなくなったから、私の印鑑は捨てようかしら」。
そこで思わず、私。
「とっとけよ。離婚届に必要かも知れん」。

爾後、三十余年。
引っ越しで整理をしたら女物の印鑑が出て来た。
「幾ら何でも、もう要らんだろ」。
捨てようとしたら傍らの山の神。
「まだ判らないでしょ・・・」。

シャックリが止まるほどに怖かった。
他人事だけど、夫婦別姓になれば、こんな会話はなくなるのかしらね。

埼玉県(57歳)

公益社団法人全日本印章業協会
「名前の玉手箱」名前と印章の想い出
56頁より

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