日本人が外国の力に屈せず、日本の伝統文化を守ったというお話し(その1)

このお話し、先に「その2」を紹介してしまいました。
日本人が外国の力に屈せず、日本の伝統文化を守ったというお話し(その2)
前回紹介した「2」は尺貫法のお話し、今回の「1」は識字率のお話しです。
より便利に、と合理化を進めた先には何が残るのか。
歴史を紐解けばおのずと理解できます。

「日本人が外国の力に屈せず、日本の知恵と伝統文化を守ったというお話。その1」

江戸時代の江戸庶民の識字率は60%以上。武士に至っては、ほぼ100パーセントの識字率だった。
当時ロンドン市民が20%、パリ市民が10%程度だったことを考えると驚異的な数字だ。
この数字を見れば当時の寺子屋制度がどれほど有意義に機能していたかがわかる。
さらに日本人は教科書として儒学書や歴史書なども読んでいたので、江戸時代に来日した宣教師が日本人の教養の高さに驚き、本国に「日本人はキリスト教の矛盾を宣教師の私に突きつけてきて困った」という内容の手紙を送っている。
余談だが、当時日本に派遣された宣教師達の真の目的は、日本を直接支配可能かどうかの調査だった。
結果は史実の示す通り、日本を武力で支配しようという愚かな国は現れず、江戸時代は260年続いた。
時は過ぎて、第二次世界大戦敗戦後の占領下(昭和20年)、連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーの要請により、アメリカ教育使節団が来日した。
最大の目的は日本人をアメリカにとって都合の良い国民になるように洗脳することだった。
その頃彼らは日本の識字率が連合国より優れているとは思っていなかった。
使節団は日本を視察し、報告書で「日本語は漢字やかなを使わず、ローマ字にせよ」と勧告した。
「ローマ字による表記の統一化は、識字率を高めるので、民主主義を増進できる」というのが、彼らの建前であった。
その後CIE(民間情報教育局) は「日本語のローマ字化」を実行するにあたり、日本人がどれくらい漢字の読み書きができるか実態調査を行なった。
日本人の老若男女、都市農村をくまなく(15歳~64歳、270ヶ所、17100人)網羅してテストした。
テストの結果、日本人は97.9%という高い識字率を誇っていることが判明した。
CIEはこの結果に驚愕し、日本の教育水準の高さに感嘆した。
この結果から「日本人の識字率の低さを理由に日本語のローマ字化をする」という当初の目論見を残念せざるをえなくなり、この企みは潰えた。
これは日本人の圧倒的な識字率の高さにより、日本人が自ら日本語を守ったと同時に、伝統や知恵の継承を遮断されずに済んだという歴史上の真実である。
識字率の高さを保持してくれた先人達に感謝。

和文化デザイン思考講師 成願義夫

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