学生からの声(3)

ご縁がありまして、2020年12月に神奈川大学・経営学部でキャリアモデル形成と言う講義を行いました。
生まれてから現在までの道程、商人(経営)と職人(ものづくり)の魅力について、
文字・漢字・印章についての話を実際の仕事を紹介しながらお話ししました。
またこちらから課題を与える事も出来たので、下記の様な文章で考えてもらいました。

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「理想的な意思決定(意思表現)の方法」

今、社会は押印(はんこを押す行為)が無くなって行く方向に流れています。
行政手続き上の無駄な押印を見直す事が「脱はんこ」「押印廃止」という言葉となり、
合理性やデジタル化を目指す政府の主導で、今後は地方行政の現場でも行われていきます。

はんこを押す、という行為は古くから意思決定の方法でした。
成人を迎え社会に出ると、様々な意思決定の場面が登場します。
それでは皆さんにとって理想的な意思決定の方法は何か、考えてみてください。

既に行った事のある意思決定を振り返ってみても良いですし、
はんこに捉われずに様々な場面を想定して考えてみてください。

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大学から講義を聴講しての感想や考察を頂きました。
皆さんにも読んで頂きたいのでシェアさせて下さい。

(11)
結婚届・離婚届の部分でがとても興味深かった。ただ単に、現状認印で可にしているものだから無くしても良いというわけでなく、そのもの自体の重要さについて改めて考えながらどうしていくか考えていく必要があると感じた。また、「判子に甘えてきた」という言葉も印象に残った。意識せずにそういうものだと思って判子を押してきた文化は日常生活の中でいくつもあるなと思った。
質問に対する答えの部分
職人といえば、「どんな時も高いレベルで安定して仕事ができる」という印象を勝手に持っていた。しかし、高いレベルを出すためにとても繊細であり、職人の人であっても日常生活の小さなこと(喧嘩や美味しいものを食べるなど)でパフォーマンスは変わるのだと分かった。一流の人ですらそうである、と分かったことは今後の生きていく上で自分自身に言い聞かせることとして役に立ちそうだと思った。

(12)
今後のはんこの価値はどんどんと変わってくることが考えられるが決してなくならないものであると私は感じている。特に実印と呼ばれるハンコに関しては、今後の意思決定にも重要なものであり、自分も社会人になる前に自分の実印を作ろうと今日の授業を通じて感じた。

(13)
昔の判子の需要に驚かされた。
極端な話なくてもいいものが世の中にあるが、それを無くしてしまうと面白みが消えてしまうのだと気付かされた。機能的にはなくても良くとも、精神的には必要なものを大事にしていきたい。

(14)
仕事にとても誇りを持っていてかっこいいなと思った。脱はんこというのは、文化が無くなるだけでなく大切な職人さん達もいなくなってしまうのだと気づき、余計無くなってほしくないなと思った。

(15)
個人的には、デジタル化してほしいと思ってたのですが、今日の水嶋さんのお話を聞いてデジタル化していいこともある一方で逆にアナログのほうがいいこともあるんだなと感じました。デジタル化したらコロナ禍での対応が大変になったというのは確かになと思うし書類の郵送のほうがいい場合もある。そう考えると脱ハンコも容易に進めていくべきではないのかなと感じました。余談ですが最後にお話しされていた学校から卒業するときにもらう名前のハンコですが私ももらったんですが、結局使うことはなく棚にしまってあります。

僕の講義を聞いた上での課題だったので、皆さん「はんこ擁護」になってしまうかと心配でしたが、
そんな事は全くなくバッサリと「無駄!」と切り捨てて下さいました(笑)
その上で無駄ではない大切な押印の意味する事や、合理化だけで物事を図り決める危険性など、
しっかりと肌で理解して下さったと感じました。

アナログもデジタルも選択肢です。
合理化の元に意思決定の選択肢を無くす事、あるいは狭める事。
それは意思決定の重要性を軽んじる一歩に繋がるのではないでしょうか?

人生に一回、二回三回あるか解らないような大切な意思決定。
そんな人生の岐路、従来通りの意思決定で一体どんな不満があるのでしょう。
時には二歩進み一歩下がる、想像よりも多くの時間を費やすかも知れません。
しかし大切な意思決定はそうあるべきだとは思えませんか?

今回、まだ重要な意思決定を体験していない学生さんの声を聴いて感じた事があります。
それは「改革を進めている方々は重要な意思決定に慣れてしまっている」のではないでしょうか。
デジタルが得意な方・疎い方だけでなく、年齢や経験についてもしっかりと考えて、
意思決定の選択肢を考えるべきだと思います。
実印は残し認印は無くす、そんな簡単な線引きでは見落とす事はたくさんあります。

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