名前と印章の想い出-8

大阪で生まれた私に、父は故郷をしのび、日本一の滝のように美しい娘にと那智子と名付けてくれました。
大学に旅立つ日、母は自分宛住所と名前を書いた百枚のハガキと、那智子にと彫った一本の印章を渡してくれました。
「時々、このハガキにこのハンコを押して投函してね。母さんはお前が元気だとわかり、安心するから」。
その父母も逝ってしまいましたが、古く欠けてしまった印章は今も大切な私の宝物です。

和歌山県(56歳)

公益社団法人全日本印章業協会
「名前の玉手箱」名前と印章の想い出
53頁より

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