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鴎所刻、平塚の人

昨年亡くなった父、東曜印房・三代目の水嶋健。
印章組合では神奈川の会長、そして関東ブロックの会長も歴任しました。
会長職を重ねると様々な会議に出る事が多く、他地域の方との交友も増えていきます。
特にお隣で全国組織の中心となる東京の方との親交は深かった様です。

ある東京の方と親しくなり落款印のお話ししていると、
「持っている落款印で平塚の人が彫った物があるんだ」と。
それは奇遇だね、と後日改めて見せて頂くと「水島鴎所刻 平塚の人」とメモが。
何と何と当店の初代・彦蔵(雅号:鴎所)が彫った落款印でした!

東曜印房の歩み



四代目の私からすると曾祖父。
その印には五蘊皆空(ごうんかいくう)と刻まれています。
般若心経に出てくる最も重要な言葉の1つで、人という存在は5つの集まりから成るもの。
その5つの集まり色・受・想・行・識はすべて空である、ということ。
父は初代の彫った印との思いがけない出会い、
そしてその刻まれた文に深く感銘を受けたと言っていました。

私達、職人の彫る印は残ります。
個人の印はその人と生涯を添い遂げますし、会社の印は代を越えて受け継がれます。
また寺社の印は世紀を越えて、その寺社と共に在り続けます。
だからこそ誠実な仕事が求められて、その為に技術が必要で、私達職人がいる。
私にとって、そう確信した出来事でもありました。

最後にこの出会いを下さったお店をご紹介します。
創業は明治19年、当店(そろそろ創業110年)を軽く越える老舗です!
東京・中野の芭蕉堂印房さん、ありがとうございました。
http://www.bashodo.com/

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