平塚市の押印見直しについて

愛するわが街も、年度末に「押印の見直し」を発表しました。
申請書等の押印の見直し結果
この4月1日から押印を廃止する行政手続きは2,001種類、今年度中に275種類の押印を廃止する予定との事です。
目的は国や県と同じ、オンライン申請など行政サービスのデジタル化を推進し、市民の利便性の向上や事務の効率化を図るため見直しを行っています。
この事に関しては否定する事ではなく私も市民のひとり、また法人代表としては喜ばしく当然の流れだと理解をしています。

これだけ多くの押印を廃止し、さてどれだけデジタル化が進むのでしょうか。
とても興味があり市役所の担当課である企画政策課に問い合わせましたが、その計画は現時点ではお話できる事はないとの回答でした。
利便性向上の為にデジタル化、オンラインサービスへの移行、その阻害原因の1つが押印である。
まずは簡単な押印の廃止から始める事は理解できますが、これだけしっかり「廃止しました!」と発表をしていて、その後の計画については話せないとはいかがなものかと感じました。
また合理性がないものについて見直していると言う話の中で「押印は本人確認にはならず・・・」と話された事にはさすがに驚きまして、「押印で求めているのは本人確認ではないことはご存じですよね?」と問いましたが、納得のできる回答でなかった事は残念でなりません。
※そもそも押印廃止については、その押印で求めているのが認印か実印かではなく「その手続きに押印という意思決定が必要か否か」、言い換えれば意思決定を省略(または簡略化)してデジタル化できるか否かで判断するべきなのですが、その件に関してはまた改めて質問しようと思います。

市が押印廃止数を発表することで得する方は誰もいません、ただの結果発表であり、ただのパフォーマンスです。
手続きの見直しや利便性向上など別に誇る事ではなく淡々と進めればよろしいかと思います。
「押印廃止」と言う言葉で、その業に携わる人々の尊厳や印章に対する信頼を傷つけている事実に気付いていないのでしょう。
やっています!のポーズ、パフォーマンスの為だけで業を傷つけられてはたまったものではありません。

見直すべき行政手続き、皆さんも様々な場面で目にし、また体験しているかと思います。
今年に入って3カ月間で私が実際に体験した手続きも幾つかあります。
【補助金の申請関係】
金額を入力し、足した合計金額や補助率を掛けるのですが、何と書式がDOCファイルです。
また書式はダウンロードできますが受付はメールで行っておらず郵送のみです。
この書類の中には押印を求めるものもありますが、押印が不要な書類もすべて郵送となっています。
【学校への提出書類】
新しい年度に変わり、多くの提出書類がありますが、基本すべて手書きです。
その中には自宅から学校までの地図を書く欄がありまして、そもそも住所を記入しているのにこの地図が何故必要なのか疑問ですが、驚いたのは昨年提出したのに今年もまた・・・と言う事です。
どうやら書式が変わったとの事ですが、そこは学校や教育委員会が業務としてやるべきで、進級したすべての家庭に最後提出させる書類ではありませんよね。
【市の関係の通知】
主に会議開催等のお知らせですが、市には何度も電話番号(FAX)やメールアドレスなどの情報はお渡ししています。
こちらからすると電話でも構わない程度の連絡でして、経費を掛けて紙で郵送する必要はまったくありません。
【オンライン会議への参加】
詳細は不明ですが、インターネットに繋ぐことができるのは限られた場所の限られた端末のみ、との事です。
大切なデータをたくさん抱えていてセキュリティの観点なのは理解できますが、これだけデジタル化を進めるだけでなくコロナ禍と言う事もあり非接触型のビジネスやリモートワークを推奨していて、自身の足元が疎かになっているのはいかがなものでしょう。

押印どころではない前時代的な行政手続き、見直すべき事は山程あります。
そう思ってしまうのは私が印章に携わる職人だからなのでしょうか。
(この記事をご覧の皆さま、体験した見直すべき手続きがありましたら教えてください)

押印廃止をきっかけに様々な行政サービスがデジタル化され、市民の利便性を向上させるのが目的。
書類から押印のみがなくなり、そのまま書類での手続きとなってはまったく意味がありません。
デジタル化への具体的な計画もないままにただ押印だけを狙い撃ちして廃止していくのでしたら、それはパフォーマンスと言われても仕方がないですよね。
この4月から企画政策部にデジタル推進課が設立され、後日そちらから連絡を頂けるとの事です。
計画が話せなかったのは担当課が違うと言う理由だけで、しっかりとした計画を示して頂ける事を期待しています。
ちなみにですが押印存続される手続きは284種類との事で、この区別もどのようにされたのかしっかりと確認させて頂こうかと思っています。

「押印をひとつでも多く廃止することが大事」
「デジタル化することが目的」
昨年、三重県知事はとんでもない発言をしていました。
愛する我が街は、本来の目的を見誤っていることが無いと信じています。

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